2013年7月24日初版公開
7月21日の参院選では、日本で初めて選挙活動の一環で政党及び候補者がインターネットを活用することが許されるネット選挙となった。しかし、10~20パーセントの有権者しかオンライン上の情報を参考にしなかったという。日本では今年の4月に改正公職選挙法が施行され、政党や候補者たちは、選挙活動の一環でメールやFacebook、Twitterなどのソーシャルネットワークを使えるようになった。
今回の参院選では、ネット選挙によって、特に若い世代の投票率が向上するか、政策討議を活性化できるかを見極める試金石と見なされていた。以前2回行われた参院選の場合、60~70代の投票率が80パーセント近かったのに対し、20代の投票率は40パーセント未満であった。 (脚注:1)
しかし、投票率は前回より7.86パーセント低い52.96パーセントとなり、これは参院選で史上2番目に低い数字であった。 (脚注:2) また、候補者たちはメールやSNSを集会や講演会の告知や支援の呼びかけに使い、政策の中身の説明はあまりしなかったため、期待されていたほどには政策討論が盛り上がらなかった。 (脚注:3) 政党や有権者たちは、従来、選挙カーで走り回り、名前を連呼し、握手をして回る地道な作業の方を重視してきた。
読売新聞とNTV系列のテレビ局が行った出口調査によると、11パーセントの有権者しかネット上の情報を参考にしなかったという。 (脚注:4) 共同通信の出口調査によれば、86.1パーセントの有権者が参考にせず、10.2パーセントしか参考にしなかった。共同通信は、6月下旬から7月中旬にかけて4回世論調査を行った。最初の調査では、39.4パーセントがネット情報を参考にすると回答したが、数字は回を追うごとに下がり続け、最終調査では25.6パーセントにまで下がった。出口調査では、20代の投票者の23.9パーセントがネット情報を参考にしたと回答したのに対し、70代以上の投票者の場合、わずか6.1パーセントに過ぎなかった。 (脚注:5)
選挙前、SNSアカウントの乗っ取りやなりすまし、誹謗中傷などが懸念された。実際、安倍首相らを装ったアカウントも散見されたものの、本人のアカウントには公式なアカウントである旨証明するマークがついているため、混乱をある程度防ぐことができたようである。 (脚注:6)
今回のネット選挙解禁では、投票上、限定的な役割しか果たせなかったものの、今後の政策討議を活性化させていく上で重要な一歩になったと指摘する専門家もいる。 (脚注:7) 例えば、ある政党は無料通話アプリLINEを使って、政策に関する意見などを募集したところ、1000件以上の回答を得ることができた。 (脚注:8) これは、他の政党にとっても、今後のネット選挙を考える上で参考になることであろう。
参考情報:
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。