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日立システムズ SHIELD Security Research Center

2012年9月4日初版公開

偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)が、8月31日に衆議院外務委員会で承認された。野田首相の問責決議で国会審議が空転しており、外務委員会は野党委員が欠席、与党委員のみでの採決となった。参議院では既に7月31日に全会一致で可決しており、衆議院本会議で可決されれば、批准となる。今までのアノニマスのACTAに対する反応を鑑みると、今から日本政府・企業へのサイバー攻撃への備えが必要である。

9月4日午前11時現在、アノニマスのOpJapanとAnonymous ACTA Leaksのツイッターは沈黙しているが、7月末に参議院でACTAが可決された後、ツイッターで標的が明らかにされていたため、引き続き注視する必要がある。

一方、海外のツイッターでは、8月31日から衆議院外務委員会の可決について既に報じられている。AoS (@AnonOpsSweden) が「ACTA was passed by force at committee on Foreign Affairs in Lower House! (衆議院外交委員会でACTAが力づくで可決された!)」とツイートし、その約10分後には、Anonymous (@YourAnonNews) も、「#Japan #ACTA was passed by force at committee on Foreign Affairs in Lower house! We have to stop it at this point or Game is over for us. (衆議院外交委員会でACTAが力づくで可決された!今の時点で止めなければならない。さもなければ我々は終わりだ)」とツイートしている。

7月31日に参議院でACTAが可決された直後は、アノニマスによるツイートが更に活発であった。8月1日に、AnonymousIRC (AnonymousIRC) が、「Going back to Defcon2 (警戒レベル2に戻せ)」と指示しているが、DefConとは、Defense Readiness Conditionの略であり、戦争への準備体制を5段階に分けた米国防総省の規定を指す。DefCon2は、キューバ危機の際に一度だけ宣言されたことのある、最高度に準じる防衛体制である。

当時標的となったのは、日本政府であった。8月1日には、Anonymous Operations (@Anon_Central) が野田佳彦首相の電話番号とメールアドレスを公開した。ツイッターで公開された電話番号は、首相官邸のものであり、メールアドレスは、野田首相のホームページ(http://www.nodayoshi.gr.jp/link/link.html)に掲載されている。また、8月2日には、AnonCorpWatchが、外務省が標的であることを示唆した。同日、外務省のホームページが一時アクセス不能になったが、これがアノニマスの攻撃による影響なのか、それともメンテナンスによるものなのか、原因は不明である。ホームページに、メンテナンス情報は掲載されていない。

8月1日には、Anonymous ACTA Leaks (@ActaLeaksJapan)というツイッターアカウントが作成され、「Calling all #OpJapan supporters to target all Japanese government, corporate and global franchise sites for leaks #NoACTA(#OpJapanの支援者たち全員に、日本政府、日本企業、グローバル・フランチャイズ企業のサイトを標的にするよう呼びかける)」とツイートした。同日、AnonPasteにSQLの脆弱性をつくツールキットを投稿したURLをツイートし、さらに「All targets by any means necessary. Take off your white hat, we are way past nice.(あらゆる手段を使って全ての標的を狙うことが必要だ。正義の味方はやめよう。今まで甘くしすぎてきた)」と投稿している 。

参考情報:
2012年8月31日付Internet Watch「衆議院外務委員会が『ACTA』承認、ネット規制強化は『誤解』と繰り返し否定」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120831_556512.html

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