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日立システムズ SHIELD Security Research Center

2012年7月4日初版公開

山形県警と山形県、そして鹿児島県のホームページに開設されたメール送信欄を利用し、それぞれ6月28日に1万1千通、7月2日に1万6千通もの大量の不審メールが送りつけられた。 山形県内の市町村で同様のメールを受信したところはなく、都道府県や警察でも同様の不審メールの受信が確認されたのは、山形県が最初であった。 山形県の捜査関係者によると、アノニマスとは手口が大きく異なり、ホームページへの改ざんも確認されていないことから、今回の件との関連は薄いと見られる。

6月28日、山形県警と山形県は、県民からの相談や問い合わせを受け付けるメールボックスにそれぞれ約7千通と4千通の不審メールが送りつけられていたと発表した。 県警へのメールは6月28日日午前1時19分から同5時2分の間に、県へのメールは午前1時28分から同2時29分に断続的に送られてきた。 県警の生活環境課サイバー犯罪対策室は、威力業務妨害の疑いもあると見て、財務省などが標的となったサイバー攻撃との関連も視野に送信元などを調べている。

いずれのケースにおいても、ホームページのメール送信画面で本文に当たる「要件」の欄には、記号やアルファベットなどが羅列されており、意味の通った文章になっていなかった。 メールアドレスの記載欄も、本文と同じような記号などが記されていた。しかし、相違点もあり、確認されている県警のメールは、本文が100文字以上であるのに対し、 県へのメールは10~20字程度で、県警へのメールでは見られない平仮名の記載もあった。

山形県のホームページは、尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件直後の2010年9月、中国のハッカー組織の攻撃対象としてリストアップされたことがある。 当時は、防衛省や警察庁のホームページがこの組織とみられるハッカーからサイバー攻撃を受け、アクセスしづらい状態になったものの、県のホームページの被害は確認されなかった。

また、鹿児島県の場合は、広報誌「グラフかごしま」定期購読者が氏名、住所などの個人情報を変更する際に利用する申込フォームの受信ボックスに、 7月2日の午前0時25分から6時28分頃にかけて、約1万6千通の大量の不審メールが送られていた。同日朝8時過ぎに登庁した職員が気づいた。 ホームページの運用などに被害は出ていないが、県は「意図が不明」とし、一種のサイバーテロと見て、県警にも相談・調査している。

メールは全て海外の同じIPアドレスから送信されているが、送信元は特定できていない。県では特定を急いでいる。 不審メールには、名前や新旧の住所など全ての記入欄に数字の「1」が打ち込まれていた。県は既に対応を取っているため、「グラフかごしま」関連の不審メールは7月3日午後1時現在届いていない。

しかし、別の課が管理する県ホームページの複数の送信欄でも7月2日午前8時46分から、件名欄に「Mr.」と大量に書き込み、意味不明の文字が書かれたメールが1時間ごとに1件から数件送信されている。 7月3日午後1時現在も、メールが同時に複数の課に届く状態が続いているという。

参考情報:
2012年6月29日付山形新聞「県警と県に1万1000通の不審メール 業務妨害容疑で捜査」
http://yamagata-np.jp/news/201206/29/kj_2012062901581.php
2012年6月29日付読売新聞「不審メール1万通超! ただしアノニマス無関係か」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120629-OYT1T00066.htm
2012年7月2日付朝日新聞「1万6千件、鹿児島県HPに不審メール サイバーテロか」
http://www.asahi.com/digital/internet/SEB201207020025.html
2012年7月3日付西日本新聞「鹿児島県ホームページに不審メール1万6千通」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/310771
2012年7月3日付南日本新聞「鹿児島県HPに不審メール1万6000件」
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=41545

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