2012年6月26日初版公開
高まるサイバー脅威に対応するため、米国と韓国が共同で「サイバー安保協議体」を創設することになった。
2012年6月14日、 米韓は、ワシントンDCにて第2回外交・国防長官(2+2)会談を開き、米国側からはクリントン国務長官とパネッタ国防長官が、韓国側から金星煥外交部長官と金寛鎮国防部長官が出席した。
両国は共同声明で、「サイバー空間の脅威が高まっており、両国の国家インフラを深刻なリスクにさらしかねないため、対応のためには、政府一丸となった積極的な努力の必要性を認識した」とし、「省庁が参加するサイバー安保協議体を設立することにした」と明らかにした。(脚注:ⅰ)
会談後の記者会見で、金国防部長官は、今回のサイバー安保協議体の設立の背景として、DDoS攻撃やGPS撹乱などのサイバー脅威を含めた北朝鮮からの非対称脅威が高まっていることを挙げた。更に、パネッタ国防長官は、今後の米韓軍事演習の中で、サイバーやネットワークの要素も盛り込んでいくことを明らかにした。韓国紙・中央日報(脚注:ⅱ)によると、両国は8 月中・下旬にワシントンで最初のサイバー安保協議体を開き、外交部を中心に国防部・国家情報院・放送通信委員会などが参加する予定である。(脚注:ⅲ)
尚、昨年6 月21日の日米安全保障協議委員会「2+2」の共同記者会見で、宇宙・サイバーなどのグローバル・コモンズについて協力を日米韓・日米豪の三カ国でも進めていくことが謳われている。 それを裏付ける形(脚注:ⅳ)で、今年6月14日の米韓外交・国防長官会談の後の共同記者会見で、パネッタ国防長官が、地域安全保障の強化と北朝鮮への抑止強化には、日米韓の三カ国協力が必要と述べている。しかし、この場では、パネッタ国防長官は、サイバーセキュリティについて特に限定した発言をしていない。(脚注:ⅴ)
尚、2011年の日米安全保障協議委員会では日米間のサイバーセキュリティ協力は合意されたものの、2012年の日米安全保障協議委員会では、サイバーセキュリティに関する協議は一切なく、サイバー軍事演習のことも話し合われた形跡はない。2012年6月25日現在、米韓サイバー安保協議体に対する日本政府からの反応は、一般報道を見る限り無い。
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